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2017年1月13日

妖怪ウォッチと障害児と母親の人生と

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 先日、6歳の娘と「映画妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!」( http://www.eiga-yokai.jp/ )を見に行ってきました。アニメと実写を行き来するユニークなつくりで、大人が見ても普通に面白く、笑ったりほろりとしていたら、あっという間にエンドロールでした。

 行ったのは、娘に見に行きたい!とせがまれたからなんですが、僕にとってはまた別の、特別な意味を持つ映画でした。

 というのも、子どもたちから大人気の、この妖怪ウォッチという作品は、フローレンスの障害児訪問保育サービス「アニー」を利用する丸茂礼さんが、プログラムマネージャとして手がけるものだったからです。


【一本のチューブのために、保育園は全滅】

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丸茂さんの娘さん


 丸茂さんの娘さんは、約4ヵ月の早産で、出生体重487gの超低出生体重児として産まれました。NICUに10ヶ月半入院し、呼吸器と酸素を持って退院しました。それから一年半の在宅治療を経て、2歳半のときには、呼吸器から離脱することができました。

 夏ごろから翌年4月の復職を目指し、丸茂さんは保育園探しを始めましたが、その時にはまだ、娘さんには鼻から胃に栄養を送る、経管栄養のチューブがついていました。

 娘さんを連れて何園も保育園の入園相談に行ったのですが、「チューブがついていたら、受け入れられない」と全ての保育園に入園を断られてしまいました。


【障害児訪問保育アニーとの出会い】




 保育園に断られ続け、策も尽きたころ娘さんは既に3歳。娘さんの妹である、下のお子さんの育児休暇をつなげ、4年間の休業状態で日々をしのいでいましたが、娘さんの医療的ケアにまつわる精神的、肉体的負担は想像以上に大きく、育休期間はあっという間に過ぎていきました。

 そんな時、僕が自分のFacebookで、「保育園に行けない障害児のお家に保育士が行って、1日保育する。そんなサービスに興味がある方いらっしゃいますか?」と呼びかけました。広告予算もないので、SNSを使っての無料告知でした。

 そこに丸茂さんは手を挙げてくださり、第一号利用者となってくださったのでした。


【アニーが私を社会に戻してくれた】

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アニーの保育スタッフと丸茂さんの娘さん

 丸茂さんはこう語ってくれました。

「アニーはものすごく画期的な素晴らしい事業だと思います。特に娘のように医療的ケアが必要であったり、保育園の何歳児という決まった枠にはまらない、個別な対応が必要な子にとって、保育スタッフに自宅に来ていただき、なおかつ訪問看護の分野でもフォローしていただけるのは今だかつてないものです。

 なおかつ8時間という長時間保育が可能ということは、仕事に戻りたくても戻れなかった障害児を持つお母さんたちの希望になると思います。

 また何よりも、娘自身がアニーの保育スタッフさん達にとっても愛されており、また娘も保育スタッフさん達を心より信頼しています。保育スタッフさんが来ると、娘は笑顔で迎えるようになりました。

 きっとアニーは、将来的には「何でいままでこのような事業がなかったのかしらね?」とみなさんから言われるような、全国にあって当たり前の事業になると確信しています。

 1年前までは絶望的だった復職。しかし今ではやりがいのある仕事に戻ることができました。
私を社会に戻してくれてありがとう。


【保育があれば、母親たちは社会に羽ばたける】

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丸茂さんと娘さん

 丸茂さんはアニーに子どもを預け、妖怪ウォッチのアニメづくりに貢献し、映画製作メンバーの一人にもなって、日本中の子どもたちを喜ばせています。

 もし預け先がずっとなくて、丸茂さんがひとりで24時間365日娘さんを育児し続けなければいけなかったとしたら、妖怪ウォッチは今僕たちが見ているものと、また違うものになっていたかもしれないことを考えると、一人の人が働けるということは、才能を社会に活かせるということは、いかに大きなことなんだろうか、と思わざるを得ません。

 でも、皆さん。95%の障害児の母親は、フルタイムで働けていないんです。医療的ケア児の母親に至っては、フルタイムどころか、パートタイムであっても、ほぼ99%働けていません。

 情熱が、才能が、これまで築きあげてきた技能や専門性や、その他たくさんの言葉にならない人生の一部が、単に「障害児保育、制度もやる人もいないから」という理由で失われています。

 もったいなさすぎだと、思いませんか?

 あまりにも不条理で、馬鹿げてます。今は21世紀です。どんな子どもたちにも、保育の光があたるべき。どんな家庭も、子育てと仕事を両立する機会が、与えられるべきです。

 そう、ないなら創れば良い。僕たちは、障害児訪問保育アニーによって、医療的ケアのある子どもたちの「もう一人の家族」として、支えていきます。障害児保育を広げていき、いつか水や電気みたいに、当たり前の社会インフラになるような時代を、創っていこうと思います。

 「新しいあたりまえ」を全ての親子に。


追記
「障害児訪問保育アニー」は東京都千代田、台東、新宿、渋谷区等で、4月からの新規利用者の募集を若干名始めています。週3から利用でき、利用料は認可保育園と同程度です。預け先に困っている障害児の親御さんは、お気軽にご相談ください。


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