阪神淡路大震災の被災者の方々に黙祷。と同時にハイチの被災者の方々の被害に想いをいたす。
姉が東灘区で被災して15年。
命からがら生き延びた彼女からの電話で生存を知ったあの喜びは、今でも覚えている。
政府より早く駆けつけた国民たちの動き。そこから「ボランティア」に注目が集まり、結果としてまだ構想段階にとどまっていたNPO法が具現化へと動き出す。
NPO法は不十分な法人制度であることは間違いない。寄付控除もなければ、所得税も30%で、中小企業優遇税制を受けている中小企業よりも高い。
しかし、NPO法ができる前は、こうした活動をする人達は法人格がないことで事務所一つ借りられなかった。お金を借りられないのはもちろんのこと。不十分であっても、法人格があったお陰で、4万近くのNPO法人が生まれ、それぞれの活動が支えられた。NPO法人を営む者たちは、みな先人たちの努力の恩恵を受けていて、そして阪神淡路大震災で被害を受けた方々や駆けつけて汗まみれで作業したボランティアの方々と、繋がっている。
阪神淡路大震災を想うにつれ、自分達NPOがその責務をきちんと果たしているのか、ということを問わずにはいられない。海の向こうのハイチでは20万人以上の人々が瓦礫に押し潰されて亡くなっている。アメリカはクリントン・ブッシュ両大統領が緊急会見し基金を創り、支援に乗り出している。世界一の地震大国日本は、被災の被害を最小限にするノウハウを世界に拡散できないのだろうか。それは恐らく我々NPOが率先してやらねばならないことだろうに。
昨年はNPO法成立10周年であった。4万にまで増えたNPO法人たち。では次の10年はどこに向かうのか。そのビジョンはNPO学会のようなところでも提示されなかった。
一方で総理自らがNPOに期待をかけていることを所信表明演説で発表するような時代になっている。政府だけでは全ての社会的課題を解決することはできない。ついに借金は収入を超え、国家の長期衰退のトレンドは確定的なものになりつつある。官が独占していた「公共」を、今ほど我々国民が自ら担わなくてはならない時代はないだろう。
NPO法成立から10年。今後の10年は如何にあるべきか。
NPOは、NPOという枠に捉われず、社会性の強い企業等と共に、新たな公共の主要な担い手になるべきだ。
特殊法人や公益法人、独立行政法人等の行政依存度が極めて高い下請け団体達に垂れ流されている補助金を徹底的に見直し、貴重な税金の逸失を食い止める。そして参入障壁を取っ払い、行政に依存しないNPOや社会的企業たちの参入を促す。これまでの「官の下請け」達が補助金で運営していた社会サービスを産業化させ、イノベーションと雇用を生み出すのだ。
そのための一つの道具として、NPOと企業の特徴を併せ持つ、新たな法人格が必要だ。企業からも容易に転換できるよう、非配当の株式を持つことができ、寄付控除も受けられるような社会事業を行う法人。存在意義はNPOと同じく「社会問題の解決」と置き、WEB上での情報開示を義務付け、官からの監査ではなく、民間第三者機関による継続的なチェックを受ける。仮にそれを「社会事業法人」と呼ぶとすると、そうした簡便で機動的な仕組みを生み出し、「新しい公共」を担うプレイヤー達の誕生と参入を促すのだ。
これは今ある町内会等の地縁組織や小規模のコミュニティグループとも共存し、幾重にもセーフティーネットを張り巡らすことになる。小規模会費型、寄付型、事業型、様々な社会事業体が群生し、小さな行政と共に、チャレンジを受けている個人を主体的に支える。こうしたビジョンを次の10年の指針とすることはできまいか。
JAL化する日本に、あえて希望を見出そう。
我々NPOが次のフェーズに移り、新しい公共を担うしなやかで強靭な帯となることが、先人たちへの祈りに代わるものとなるのではなかろうか。
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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