駒崎 弘樹 公式ブログ 旧ブログ記事

オールナイト陣痛

大手小町コラムを転載。

産科医の先生が器具を持って入ってきた。
「ご主人様はちょっと出て下さいね。」と助産師さん。
しばらく部屋の外で待ち、戻ってみると痛みで唸っていた妻が、先ほどとは打って変わって嘘のように大人しい。
無痛分娩用の部分麻酔を入れたのだった。
「これで、子宮口が開くのを待ちましょう。」
先生はそう言って、出て行ったのだった。
妻は横たわり、僕はベッドの脇でその瞬間を待つことに
なったのだが、時は深夜。
どうにも眠い。
妻はすやすやと寝ている。僕は椅子に腰かけ腕を組んで寝るが、
うまく寝れない。学生時代、あんなに座りながら眠れたのに!
椅子に座りながら、上半身をベッドに投げだしてみて寝ようとするが、
どうにも腰が痛い。眠いけど、寝れない。傍にはいてあげたい。
しかし・・・、と格闘している間に、変な姿勢でうつらうつらして、
すぐに目を覚ます、ということを繰り返した。
「子宮口開き待ち」はそのまま朝まで持ち越し、疲労も極限に来た
9時を過ぎ、10時を過ぎ、11時になろうとした時に、助産師さんが言う。
「そろそろ分娩室に移動しましょう。」
来た、ついに来た。
割烹着みたいな手術服を着て妻の枕元に立ち、頭を押さえながら、「大丈夫、大丈夫だよ」と呟く。
助産師さんの「息を吸ってぇーーー、はいてぇーーー」という掛け声に
合わせて、産むわけでもない僕も息を吸って、吐く。
麻酔が掛かっているのでひどく痛がるわけではないが、それでももの凄い
力を使って懸命にいきんでいる妻を見ていると、涙が出てきた
何もできない自分。
そんな時に助産師さんが顔を曇らす。
「ちょっと斜めになっちゃってるねぇ・・・」

それ、どういうこと!?ちゃんと説明してよ。そんなセリフが喉まで出かかったが、
懸命に処置している助産師さんにそうも言えない。
ひとりでオタオタしながら、意味なく一緒にいきんでいると、隣を白い服を着たヨーダみたいなおじいちゃんが、ぶつぶつ言いながら通り過ぎて行く。
「何だよ、関係ない事務の人とか入ってくるなよ!」と横目で憤りつつ、声がけしないといけないので「大丈夫、もうちょっと!」と妻に叫ぶ。
気付くとさっきのヨーダが、手袋して巨大な銀色のスプーンみたいな器具を持って、眼前に現れた。
胸には「院長」のネームプレート。
えぇ、院長だったの!?
と、その瞬間、ヨーダ院長は銀色の巨大スプーンを、何やらぶつぶつ言いながら妻のお腹に突っ込んだったのだ。
—————————————————————-
当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
PCサイト http://www.florence.or.jp/
携帯サイト http://www.florence.or.jp/m/index.htm
病児保育で困っている、サービスを希望するという方は、
こちらのフローレンス本体のページから、お申し込み下さい。http://www.florence.or.jp/
我が子が待機児童になってしまって困っている方は、
「おうち保育園」でお預かりができるかも知れません。
http://www.ouchi-hoikuen.jp/
フローレンスのサービスエリアは東京23区の足立区/板橋区/江戸川区/江東区/品川区/渋谷区/新宿区/杉並区/墨田区/台東区/中央区/千代田区/豊島区/中野区/文京区/港区/目黒区/荒川区/大田区/世田谷区/葛飾区/北区/練馬区 に加えて、千葉県浦安市・神奈川県川崎市です。
ひとり親への超安価な病児保育サービス「ひとり親パック」に共鳴し、寄付を
して下さる!という方は、下記のフォームでお申し込みください。
http://www.florence.or.jp/corp/fr/fundraiser/
ワークライフバランスや男女共同参画、ソーシャルビジネスについての
講演を依頼されたい企業、自治体、メディアの方々は
↓からお申し込み下さい。
http://www.florence.or.jp/inquiry/form1/ask_kouen.htm
フローレンスへのインターンを希望される学生は、
NPO法人ETIC.の細田さん宛にご連絡頂ければと思います。

TOP


いつもご支援頂き、誠にありがとうございます。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。
_______________________

HOMEブログトップへ