駒崎 弘樹 公式ブログ 旧ブログ記事

【大手小町】夜泣き攻防戦(前半戦)

出産時の出血で、妻は貧血。その他マイナートラブルが併発し、グロッキー状態。
「明日のジョー」で例えたら、最終ラウンドで相手のアッパーカットをもらってしまい、
ダウンしないまでもクリンチで逃げて、ゴングで救われた、みたいな状態である。
しかし出産までは僕は見ているだけの丹下段平に過ぎなかったが、子どもが産まれたら相方として参加できる。それはむしろボクシングから、プロレスのタッグマッチに変わったようなものだった。
相方を休ませるために、僕は夜泣き当番を引き受け、リングに上った。
まずは寝かしつけ。なぜか夜の方が活動的な娘。手足をバタバタさせて「眠くない」とアピールしている。そこは基本に忠実にミルクで攻める。ごきゅごきゅごきゅ。
よしよし、効いてるぞ。飲んでいる途中に、やっこさんの目が虚ろになってくる。
夢の世界にレッツゴーだ。
縦だっこをし、げっぷを出させ、布団に置く。よし、寝てる。
これで僕も寝られるや。よし。目を閉じて5分後。
「フガフガフガフガ」
何やらアピールし始めた。
きっと寝言だろう。目をつむったまま、やりすごそうとする。
今度はもうちょっと大きな声で
「フンガフンガフンガ」
と声をたてる。
仰向けで寝ていた僕であったが、ちらっと娘の方に顔を向けると、僕の方を凝視している。
慌てて目をそらす。もう一度そーっと見てみると、やはり僕の方を向いてフガフガ言っている。おかしい、生後数日は視力も弱く、40センチ圏内くらいのものしか見えていないはず。なのにあの目ヂカラはなんだ。
「ぴぎゃぁぴぎゃぁ!!ぴぎゃぁあああああ!」
ついに泣き始めた。
なぜ泣く、娘よ。あんだけ旨そうに僕からミルクを飲んだばかりじゃないか。
これ以上何を求めると言うんだい。
そんな僕のひとり言も関係なく、全身をローリングさせて何かを絶叫して訴える50センチの娘と僕は、真っ暗の6畳間に対峙した。(続く)
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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