駒崎 弘樹 公式ブログ 旧ブログ記事

大阪の小学校がすごい


久々に感動した。
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僕を感動させたのは、スマイルスタイルの塩山諒さん(通称塩ちゃん)。
彼が大阪府の小学校に導入している教育プログラムが、良い。
その名も「まちときどきカエル」。
まず子どもたちが、町の「カエル(変える)ポイント」を話し合う。
例えば、放置自転車が多かったり、ゴミのポイ捨てが多かったり、大人の人たちが元気がなさそうだとか、そういった「変えるべき点」を見つけるのだ。
その後、問題を変えられる「カエルアクション」を自分なりに考える。
そして、実際にその「カエルアクション」を、手を動かしてやってみるのだ。
例えば、ある小学生のチームは、挨拶がないことをカエルポイントだと思った。
そこで、段ボールで「あいさつ自動販売機」を作り、その中に入って駅前に立った。
これまた段ボールで作ったコインを歩いている大人達に渡し、あいさつ自動販売機にコインを入れてもらうと、自動販売機の顔の所が開き、
「お姉さん、とっても綺麗ですね。行ってらっしゃい!」
であるとか
「おじさん格好いい!今日も頑張ってね!」
等と挨拶をする、というアクションを行った。
大人たちも思わず微笑んで協力してくれたらしく、その日は日本一挨拶が多い駅前になったという。
このようなプログラムを行う前に、「自分たちもできるんだ」と思ってもらうために、既にまちを変えた人々をロールモデルとして子ども達に紹介する。
例えば石原明佳(はるか)さん、岡山県の小学校三年生のエピソードを抜粋する。
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小学2年生のときによんだ、「国道の木を切る」という新聞きじ。りゆうは、人が木のまわりにかくすようにゴミをすてていくから。木を切ってしまえば、ゴミをかくすことはできないので、すてる人が少なくなるかもしれないと大人たちが考えたことでした。
「わたしはわたしのみらいにみどりがほしい!」ひごろからそう考えていた明佳さんは、お母さんとお父さんといっしょに、 国道の木をきることをきめた人にお手紙を書きました。 「わたしが毎日ごみひろいをするから、木を切らないでください!」
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だれにおてがみを出すか、どうやってだすのかということは、お母さんとお父さんにそうだんしてきょうりょくしてもらいました。
そのけっか、明佳さんが手紙を書いてからたった4日で、おうえんしてくれるひとが60にんもあつまり、みんなでごみひろいすることができました。
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つぎの日も、つぎの日も、毎日ごみひろいをする明佳さん。やがてそのかつどうや明佳さんのメッセージが、木を切ろうと考えていた大人たちにもと どき、今後は国道ぞいにみどりをふやしていくことをやくそくしてくれました。そして、国道のちかくのパーキングには、明佳さんのかつどうをつたえるかんばんを立ててくれました。
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今ではこの国道は、みんながきれいにまもっていく国道として多くの人に知られています。今でも多いときに は40人ものひとが、明佳さんの思いにうごかされて、ごみひろいにさんかしてくれます。明佳さんは、「もっと、自分が思ったことをするために、一歩をふみ出せる小学生がふえたらうれしいな。」とてれくさそうに言っていました。
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泣ける。そして小学生はインスパイアされるだろう。自分たちと同じような年の子の小さなアクションが、大人たちが切ることに決めた、国道の木を救ったのだ。
この「まちときどきカエル」の話を聞いた時に、既視感を覚えた。
そう、大学(慶應SFC)の頃に、マントラのように繰り返されたキャンパスの中心理念。
「問題発見・問題解決」
学問分野にとらわれず、社会問題を発見し、その解を既存の学問を学際的に組み合わせて産み出していくことを奨励されたのだった。
徹底して叩きこまれたこの姿勢を、この「まちときどきカエル」は小学生にも分かりやすく、なおかつえらい楽しそうに展開しているではないか。やられた。
まちは大人たちが勝手に作り、勝手に運営し、自動的に回っていく。
普通の子どもたちは思うだろう。それは余りにも巨大で、自分が何かすればどうにかなるものではない、という思考のフレームが無意識のうちに固められていってしまう。
しかし、自分が行った小さなアクションで、誰かが喜んだり、実際に少しでも何かが変わったような気になれたらどうだろう。その小さな成功体験が自己効力感(自分はやれる)という感覚を生み出し、内発的な動機づけのもと、社会にコミットする大人に成長していくのではなかろうか。
「まちときどきカエル」、あっぱれである。
願わくば日本中の小学生がこのプログラムを体験し、社会的課題を自らの手で解決するトレーニングを幼少期のうちに体験してもらいたい。
彼らが大きくなった時に、どんな風に社会と相対するか、本当に楽しみだ。
※まちときどきカエル ウェブサイト
http://machi-kaeru.org/
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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