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被災地現場で活動する小児科からの報告~全国の開業医の出番~

被災地に駆け付けた東京都中央区の小坂こども元気クリニック院長、小坂和輝氏からのレポートをシェアします。小坂先生はフローレンス立ち上げの時から協力して下さっている恩人です。医療関係の方に見てもらえれば。

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小坂和輝です。
こんにちは、
日本医師会から災害医療チーム(JMAT)の形で、石巻市へ派遣され、3月19日から
医療活動を行ってきました。
 小児科医師2名、薬剤師2名でチームを組んで、被災地の避難所を巡回致しまし
た。
 被災地に入るにあたっては、現地とのコーディネートをきちんととってから入るこ
とが重要であると思います。
 私たちは、中央区医師会→東京都医師会→日本医師会で、災害医療チームを登録
し、石巻市の災害対策本部とつないでいただき、石巻市災害対策本部から、石巻市の
河南地区の避難所支援の要請を受け、行動を開始ししました。
 被災後約一週間。
 避難所に電気が通り、水道がタンクでいきわたり始め、食料物資も届き始め(「朝
おにぎり1つ、昼チョコ1こ、夜おにぎり1つ」から脱しつつある時期)、わずかに落
ち着きをとり戻してきているところ。
 避難所では避難されている方の1/3~1/5の方が医療相談支援をご希望され列をなし
ました。
 こちらとしては、列をつくらぬよう工夫して対応を致しました。
1)事前に問診票記入→問診票:http://www.coe-cnas.jp/pdf/003.pdf
2)問診票提出の順番で受付し、いったん自分の場所に戻っていただく。次の番にな
ると、お呼びし待機いただく。
3)受診後には、避難生活での気を付けるポイントをまとめたものを配布(厚生労働
省作成)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014uzs-img/2r98520000014v1g.pdf
また、今から振り返れば、避難者が長期内服薬を処方されている場合、薬剤名・量
を紙に各自書いて持参し、医療相談を受ける場合提示するようにしていただくとあり
がたいと思いました。巡回時内服薬確認に意外と時間がとられました。
<受診の状況>
3/20
K小学校 避難者85名 受診者27名32%
K高校  避難者220名 受診者45名20%
3/21
S小学校 避難者77名 受診者16名21%
H中学校 避難者144名 受診者34名24%
H小学校 避難者191名 受診者19名10%
N中学校 避難者21名 受診者3名14%
Tセンター 避難者100名 受診者23名23%
全合計 避難者838名 受診者167名 20%
 ご相談内容は、不眠・ストレス、胃痛、高血圧や糖尿病、高脂血症、心臓血管病等
の定期薬入手困難、胃腸炎や咳の風邪、便秘、花粉症、アトピー、外傷処置、家族・
家・職場・かかりつけ医院が流された被害関連等(順不同)。
 また、以下のような役割もございました。
1)今までの経過で見落とされていた大きな疾患を見つけ、受診への誘導。
  例、
  津波に流され負傷した手の傷(手の腱が見えるぐらいにえぐれている)を放置し
ているかたに受診を誘導
2)お話をお伺いすることで、不安の軽減。
3)少しの情報があれば解決があるのに、解決できなかったケースへの対応
 例、
 どこに耳鼻科があるかわからない。
 大きな病院へのアクセスの方法がない→透析患者搬送の車に便乗する手配
4)福祉へつなげるケース
 例、
 外国人で妊娠中、その夫は津波で流されてしまいどうしてよいかわからない
5)定期内服薬を持参して避難できなかったため、そのまま内服をやめているケース
 再度、受診を促し、定期内服することの指導
 本人は、自覚がないが、血圧は、異常値を示していることを発見し、受診指導
6)感染症への早めの対応
 <必要であった薬剤>
便秘薬、胃薬、不眠に対する薬剤、風邪薬とうがい薬、糖尿病/高血圧などの定期内
服薬、花粉症、保湿剤、イソジン消毒液、ウェルパス消毒液、解熱剤、
 被災地では、病院や医院が流され、患者が移送されたケースもあります。
 幸いにして、被災を免れた医院も、電気、水道が復旧をしていなかったり、薬剤の
供給が不足していたりして、十分な医療体制はできていない状況です。
 今、被災地の救命救助活動は、新たなフェースに入ってきていると思います。
 被災直後は、地震や津波、火事に直接被災し、負傷した方の救命活動。
 高度なまた外科的な対応が求められたと思います。
 よって、医師も大学病院や大きな病院のチームが、即戦力として医療活動に力を発
揮されました。
 今は、避難生活が長期化してきて、それにともなっての疾患への対応。
 基本的には開業医が、日々外来診療で診ている病気への対応になってきています。
 救われた命を必ず守っていくために、日本全国の開業医が、現地対策本部でコー
ディネートしていただいた被災地に、定期的かつ継続的に入っていき、避難者の医療
支援に入る必要があると思います。
 私たち、日本全国の開業医の出番です。
 コーディネートを受けた被災地に、週末だけでもよいので、定期的に継続的には
いっていくべきと思います。
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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