駒崎 弘樹 公式ブログ 旧ブログ記事

「経営者が教える『本当は他社には教えたくない、ワークライフバランスで得する方法』」2

「ろうさい」という業界紙に連載したものを転載します。

前回の記事はこちら。
http://komazaki.seesaa.net/article/205586625.html


●前回までのあらすじ

前回の連載の内容を一行で表すと
「ド中小企業の我々が、働き方をカイゼンしたら、儲かった」
であります。
残業代が減り、採用力がつき、離職率も下がり、行政からもお褒め頂き、と結構な恩恵を得ました。では具体的に何をやったか、というのを今回から述べてまいりたいと思います。

●「こんな組織にするぞ」宣言

小手先の工夫をする前に、組織全体をどのようなものにしていくのか、というのを「見える化」しました。それが「組織ビジョンです。」(図を参照)
2011y05m31d_194520897.jpg
うちはワークライフバランスやっていくぜよ、と宣言しておりまして、それをパネルにして会議室等目立つ場所に貼りました。
これだけで、「あ、思い付きじゃないんだな」と社員は何となく圧迫感を受けます。
●働き方革命その1 会議革命
①会議の見える化
自慢じゃないですけど、会議がイマイチだったのが、うちの会社でした。
まず「無駄に長い」。
2時間超すのは当たり前。2.5時間、3時間になるともう我慢大会です。
「今何の話してるんだっけ」と思いつつ、「そういえばあの件だけども・・・」と話題が無限増殖していったりします。
更には「やると決めたことがやられない」。
「あれ、それって私の仕事でしたっけ?」と言いだす社員も後を絶たず。
この話題、いつか聞いたことある、というデジャヴが連発される状態でした。
そこで、ここでも「見える化」を敢行しました。
会議の見える化。それはすなわち、議事録のリアルタイム見える化です。
会議プロジェクタ.jpg
こんな風に、議事録をプロジェクタで映し出し、リアルタイムに議事録を取りながら会議をするのです。
こうすると議題は例えば
□先週のタスク
□新たな営業体制について
□経理フローの改善
□採用方針の決定
等とはっきり書かれていて、自分達が今何の話をしているか分かります。
更に、一つの話が終わったら、
■先週のタスク
■新たな営業体制について
□経理フローの改善
□採用方針の決定
こんな風に四角を塗りつぶしていくと、「一つずつ議題を消化している感」が出て、余計な脱線が抑えられます。
更にはそれぞれがやってくる作業を、「タスク」と呼び、必ず人ごとに列挙し、日付を入れさせます。
<タスクリスト例>
駒崎
□【0531】所管省庁への申請書類の提出
□【0527】ABC事業部に残業時間削減の指示
宮崎
□【0610】社労士さんに外注について連絡
□【0731】就業規則変更
この四ケタの番号は、例えば一番上なら5月31日を意味します。
どんな小さなタスクでも、それをやろうと決まった瞬間、議事録のタスクリストに
入れ込み、最後に必ず期限を決めます。
各自は会議後、これを、自分のタスクリストにコピーアンドペーストします。
そして、タスクをこなしたら、
■【0531】所管省庁への申請書類の提出
□【0527】ABC事業部に残業時間削減の指示
こんな風にして黒く潰していきます
このタスクリストは、毎日日報としてメールで共有されつつ、次の会議の時は各自の会議タスクを1人ずつ見ていきます。
そうすると、やっていないタスクは一目瞭然。
「あれ、何でこれ終わってないわけ?」
と突っ込まれるのが嫌なので、皆何とか自分のタスクを黒く塗りつぶしていこう、と必死になる仕組みです。

②会議ルールの見える化

更に、会議にあたってのルールも見える化しました。これもさっきのビジョンと同じく、パネルにして会議室に貼りだしました。これは弊社のものです。
会議ルール.jpg
これでルールを「忘れた」とは言わせません。
またもやパネルの圧迫感で本気感を醸成します。

③フルメンバー・サブメンバー制

更にダメ押しでこの制度を導入しました。
ある日僕は気付きました。会議に出ている人たちで、一言も発していない人がいる、ということを。
そうです。別にその会議に参加することがマストではない人が、会議の度にいたのです。そういう人に「何で参加しているの?」と聞くと、
「いや、出ろって言われたんで」とか
「この議題だけ、ちょっと報告しないといけなかったんで」
とか言います。
そういう社員たちの会議中の人件費まで払っているのか、ということに勝手に憤りを感じました。
では会議は「全部出ないといけない人=フルメンバー」と「部分的に出れば良い人=サブメンバー」に分けてあげれば、無駄な会議に出なくても済み、すっきりするんじゃないか、と思い、早速実行したところ、一番無駄に会議に出ていたのは自分でした。
10個近くフルで出ていた会議は、7割くらい「部分的に出れば良い会議」だったのです。
そんなこんなで、これだけのローテクかつコストのほとんど掛からない(パネル代4000円のみ)、会議改革によって、それまで無駄に長くて何も決まらない会議が、軒並み1時間以内の超高密度会議になっていったのです。
次号では、更に残業時間を滅多切りにした幾つかの小技をご紹介いたします。



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