駒崎 弘樹 公式ブログ 講演/イベント

2014年は、講演活動を停止します

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これまで僕はフローレンスにおいて「伝える変える」事業として、各地でご依頼に応じて講演活動を行ってきました。
内容は病児保育や働き方の変革、社会起業やソーシャルビジネスについてが主でした。
こうした講演を行うことで、多くの人が社会的課題に気づいて頂き、それが世論になり、社会変革を後押ししていく、というのが活動目的でした。多くの人と出会え、それが事業にも繋がっていく、楽しくも意義深い仕事でした。
しかしこの活動を、とりあえず来年1年は辞めたいと思います。(既にご依頼頂いているものは、予定通り行います。)
理由が2つあります。
一つは2014年に、新規プロジェクト立ち上げを幾つか計画しているためです。そのどれもが社会問題の解決に資する、しかしとても難しいものです。経営者として12年のキャリアを積んできましたが、成功に導ける確率は五分五分だと思っています。これまで培った全てのスキルと知識を使って、挑んでいかねばなりません。
そのためには、できるだけ心と体を集中させないといけません。そして新たな時間を生み出すためには、何かを「やらない」と決めなくてはいけません。
また一方で、3歳と0歳の子どもの子育てがあります。定時退社してほぼ毎日風呂に入れたり寝かしつけたりしていて、そういう時は幸せです。でもしょっちゅう熱を出したり、変なものを飲み込んだりして、テンパりながら、実家やフローレンスの世話になっています。
いくら忙しくても、子ども達との時間は削りたくありません。そうすると、今やっている仕事を棚卸しし、優先順位を決めて、自分がやらなくても良いことを、(でも愛着はあることを)投げ捨てなくてはなりません。
そうした意味で、来年は新規の講演活動をお断りしていこうと決めました。
(あまり準備や移動をしないで済む、メディア取材や都内での収録等は、引き続き承って参ります)
実は割と迷いました。というのも、そういうのは「感じ悪い」からです。
この前、お世話になったある方から、「私のところの学生からのヒアリングを受けてやってほしい」みたいな依頼がありました。そういう依頼は非常に多いので、通常フローレンスでは広報担当が対応します。その旨を告げると
「へぇ、偉くなったもんだね」
と言われました。
で、地味に傷つきました。
そういうんじゃないのに。時間があれば、何でも受けてあげたいけど、どうしても取捨選択しないといけないだけ。何でも受けてたら、経営はぐちゃぐちゃになる。経営がぐちゃぐちゃになると、現場は荒廃してしまう。僕たちは人の命を預かっているのだから、しっかりしないといけない、ということなんです。でもそんなことを説明する時間もなくて、曖昧に苦笑いするしかなかったのです。
で、今後講演とか断るようにすると更に「お高くとまっている」っていう印象を、世間様に与えてしまうだろうなーと。僕はただでさえ、元ITベンチャーだったり、短気で感情が顔に出過ぎたりするので、特に保育・福祉業界にいる人からはあまり好かれていません。
それに加えて、せっかく厚意を持ってくれて、お金払って講演まで依頼して下さる方々にNOと言わなくてはならないとなると、感じ悪さが加速されるな、と。
でも、そこはもう甘んじて引き受けなきゃいけない、と覚悟を決めました。高校の頃アメリカに留学した頃、レスリング部に入っていたのですが、そこのコーチがいつも
“No pain, no gain!”
と声をかけ続けてくれていたのを思い出しました。
そんなわけで、来年は、皆さんから講演をお誘い頂いてもお受けすることはできませんが、何とぞご理解頂けましたら幸いです。
黙々と社会事業を推し進める背中をお見せすることで、講演よりも雄弁に語っていけたらと思います。
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