駒崎 弘樹 公式ブログ ライフ・子育て

同志、大毅(だいつよし)に捧げる

友人の大毅(だいつよし)が9月20日に亡くなった。
昨日は彼のお通夜だった。

 

 

急死、とも言って良い友人の死に動揺した。
今でも困惑している。自分自身で整理するために、そして彼がこの世界にいたんだ、ということを残しておくために、書いておこうと思う。

 

 

彼は企業法務弁護士としてとても優秀だった。
しかしそれと同時に、ソーシャルセクターに早いうちから関わり出した弁護士だった。
まだプロボノという言葉が広がるよりも前に。まさに先駆者だった。

 

 

僕も社会起業したばかりの時に彼と出会った。
何かにつけ力になってくれた。

 

 

彼と一緒に仕事をしたのは、休眠預金の活用についての政策起業プロジェクトだった。

 

 

僕は銀行にあって、一定期間経つと雑収入になってしまう休眠預金を、社会課題解決のために使う法律を海外のようになんとか創れないか、悪戦苦闘していた。

 

 

個人の財産権を政府に移す法的妥当性について頭を抱えていた時に、彼は他の後輩弁護士たちとプロボノチームを結成してくれ、法律の草案を創ってくれた。

 

 

それが議論を前に進めたことは間違いない。
色々試行錯誤と七転八倒を繰り返し、結果として2016年に休眠預金等活用法は国会を通過し成立した。

 

 

僕たちは、そんな戦友だった。

 

(休眠預金活用プロジェクトメンバーのみんな。大さんは一番右)

 

 

ただ、最近数年はコロナもあって、会えてなかった。
メッセージはやりとりし、「今度飯食いに行こうね」とお互いに言い合っていた。

 

 

しかしその機会は永遠に無くなってしまった。なぜ大切な人との時間を後回しにしてしまったのだろう。

 

 

お通夜にはたくさんの方が来ていた。
1時間くらい並ばなければ焼香ができないくらい。
それが、彼の積み上げてきた信頼と徳を表していたように思う。

 

☆★☆

 

僕は混乱している。人生100年時代。自分が100年生きるつもりで、70歳になっても働けるように学び直し、健康寿命を伸ばすよう運動し、仕事以外の人間関係をしっかりと大切にする。つまり100年生きるつもりで自分の能力や健康や人間関係に投資することをしている。

 

 

一方で、こうやって突然人生は終わる。あっけなく。

 

 

じゃあどうすれば良いんだろう。長期を見据えて時間を投資していけば良いのか、今と今日の喜びを最大化する挙動を取れば良いのか。

 

 

答えはその両立を、細き道を行くことなんだろう。言うはやすし、行うは難しだけども。
そんなことができるのか。

 

 

ああ、そんな人生の歩き方も、大さんと話せたら良かったのにな。

 

☆★☆

 

でも、いつまでも泣き言言ってても仕方ない。

 

 

大さんが見たかった未来を実現する。それが彼に対する感謝と、僕らなりの冥福の祈り方なんだろう。

 

 

おやすみ、大さん。僕がそっちに行く時に、今度こそ飯を食べよう。
あなたが去ってから、どうやって闘ったのか、あなたが喜ぶようなお土産話を聞かせられたら。

 

HOMEブログトップへ