「おうち保育園」の法制化が一歩進みました!
政府が「子ども・子育て新システム基本制度案要綱」を発表しました。
●「子ども・子育て新システム基本制度案要綱」(PDF)
http://bit.ly/9otFd0
ここにおいて、フローレンスが「おうち保育園」として日本で初めて事業化し、制度化を求めていたものが、盛り込まれています!
具体的に見て行きましょう。
P6(多様な事業者の参入による基盤整備)
○ 子ども・子育てビジョンの目標達成に向け、幼保一体給付(仮称)の各サービスについて、集中的に整備する。特に、地域におけるNPO等による家庭的保育サービス、小規模保育サービス等の取組支援の拡充を図る
別紙3枚目
イメージ②-1 小規模保育サービス①
とあります。
メディアのスポットライトは保育園と幼稚園の一元化に充てられていますが、僕は待機児童の解消においての実質的なインパクトはこの「小規模保育サービス」の解禁が勝っていると思います。
これによって、これまで保育所が作れなかった都心部において、空き家等を使った家庭的保育所の運営が可能になります。また、こうした小規模施設は待機児童集中エリアにピンポイントに出店し、かつ人口動態が変われば撤退コストも非常に少なく撤退が可能になります。(既存の認可園等、認可園にしか使えない設備になっていますので、撤退時の改装等にもコストがかかるので、二重に公費投入が必要です。)
保育の歴史を変える、こうした第一歩を踏み出して下さった、泉健太内閣府政務官を始めとした「子ども・子育て新システム」チームに、厚く御礼申し上げたいと思います。
しかし課題が無いわけではありません。こうした制度においては、「神(使い勝手)は細部に宿」ります。
例えば、現在の「家庭的保育ガイドライン」で、「保育支援者」を置くことが認められています。この「保育支援者」を置くと補助額が上がり、ようやくペイできるようになるのですが、例えばこの「保育支援者」、保育所勤務経験10年を必要とする、となっているのですが、「保育所」とだけ書いてしまっているために、幼稚園勤務経験、児童館勤務経験、乳児院勤務経験等全て除外されてしまいます。
多様なキャリアを積んで見識を広げた保育者は、「支援する資格なし」とされてしまうのです。
また、現在の「おうち保育園」は消費税免税事業者として扱ってもらえていません。他の全ての認可保育所・認証保育所・保育ママが消費税免税事業者にも関わらず、です。消費税免税ではない、ということは、消費税を納めなくてはいけませんが、区の規定で他の園と合わせなければいけなくなると、実質保護者の支払うべき消費税を事業者である我々が支払うことになります。利幅が極端に低い家庭的保育において、5%が失われるのは、死活問題になります。
例えばこうした無数の「細部」によって、その制度が使われるものになるか使われずに社会的に死んだものになるか、が決まってきます。
そうした細部がきちんと詰められるか、については、これから我々がしっかりウォッチし、適宜政策提言していかねばならないところになってくるかと思います。
とはいえ、下町江東区に小さく始まった「おうち保育園」が制度へと昇華していく大きなな第一歩と、同時に日本の保育システムにようやく夜明けが見え始めた、と言っても良い内容の要綱発表をしてくれた日本政府に、ひとまず拍手を送りたいと思います。
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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