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【画評】「ウォー・ダンス」で希望の躍動を見る

ドキュメンタリー映画である『ウォー・ダンス ~響け僕らの鼓動~』の舞台は、ウガンダ共和国。美しい地平線に沈む夕日とは裏腹に、ここにこの世の地獄があった。


ウガンダは政府軍と反政府軍(神の抵抗軍)の内戦が未だ続く国だ。そしてその一番の犠牲者は子ども達である。単に子どもたちが撃たれたり危険な目に遭うだけではない。彼らは誘拐され、『こども兵』に仕立て上げられる。
両親を目の前で殺し、あるいは子ども自身に殺させ、もう家に帰れないことを認識させ、小型兵器を渡され最前線に放り出される。目の前の住民を殺さなければ、躊躇なく殺されるのは自分だ。極限状態の中で正常な精神を失い育っていく子ども達。女子はもちろん性的搾取の対象となる。
本映画「ウォー・ダンス」の主な登場人物は、反政府組織に親を殺された子ども達、殺されただけでなくこども兵にさせられていた子ども達だ。彼らがあどけない声で語る話は、吐き気を催すほどの残忍な内容で、およそ人間がやった所業とは思えないようなものばかり。しかしそれは彼らが暮らした現実だ。
とはいえ、この「ウォー・ダンス」が優れた作品であるのは、その残酷な運命を私達に伝えているためではない。それならば多くの作品が過去にもあったし、広く「アフリカの可哀そうな子ども達」を描いた作品は、枚挙にいとまがないと言えよう。
この作品は、彼らの地獄から立ち上がろうとする様を描く。
ウガンダで知らないものはない「歌と踊りの全国大会」。日本で言ったら甲子園のようなものだろうか。その栄誉ある全国大会に、難民キャンプにあるパタンゴ小学校が選ばれた。元こども兵のドミニクや、親を殺されたナンシー達は、自分達の歌と踊りを多くの人に見てもらうチャンスを得る。ひょっとして優勝できたら、自分達を認めてもらえるかもしれない。「北部の人殺し」と陰口をたたかれる自分達も、やればできるんだ、と証明できるかもしれない。
彼らは毎日懸命に練習する。有名な音楽教師達も、道中反政府軍に襲われる危険を冒して、歌と踊りを教えるためにやってきてくれた。
何度も何度も練習した。
首都で行われる全国大会に、はたしてパタンゴ小学校の皆は結果を残せることができるのか?というのがこの映画のストーリーだ。
結末は是非本作品を見て味わってほしいが、作中の言葉が忘れられない。
「僕らはもう『可哀そうな子ども達』なんかじゃないんだ!」
そう、私達は悲惨なアフリカや中東の映像を見て、彼らが「可哀そうだ」と胸を痛める。しかし彼らは可哀そうなだけの存在ではない。懸命に立ち上がり、夢を叶えようと奇跡を起こせる存在なのだ。
彼らの踊っている時の顔を見よう、歌っている時の表情を見よう。
我々の卑小なステレオタイプは、ちゃぶ台ごとひっくり返されるだろう。
響け、彼らの鼓動よ。
※追記
日本でウガンダのこども兵の社会復帰プログラムを展開するのは、盟友鬼丸昌也率いる「テラ・ルネッサンス」です。こども兵支援に興味をもたれた方は、ぜひ。
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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