駒崎 弘樹 公式ブログ 旧ブログ記事

なぜ(財)日本病児保育協会を立ち上げたのか


関係者の方々に簡単にご説明さしあげたいと思います。


本国会で子ども子育て関連三法が通過しました。消費税から7000億円が投下され、これまでの保育政策と補助システムを大きく変える制度改正です。この中で病児保育はどうなるのでしょうか。
まず、従来の路線である「病児・病後児保育事業」自体に大きな変更はありません。これは良くないニュースです。なぜなら病児保育施設を中心においた病児・病後児保育事業において、病児保育サービスの量的拡大は遅々として進んでいないためです。
新たな制度になっても、病児・病後児保育事業は自治体所管の事業であり、自治体が病児保育を整備しようがしまいが、ペナルティはありません。また、小児科自体が少ない中、小児科に病児保育室を併設する従来型枠組みを増やそうとしても、現実的ではありません。
では、新たな制度下において病児保育はないがしろにされたままのでしょうか。そうではありません。ここに一つの希望があります。それが、今回新たに創られる新類型、「居宅訪問型」保育です。
これは、これまで国の補助は保育園のような施設にしか出されてこなかったのに対し、ベビーシッター等の訪問型保育サービスにも補助しよう、という保育政策的には非常に画期的な取り組みです。この制度がもし、これまで全く政策的に補助対象とされてこなかった訪問型病児保育や障がい児シッターを対象化するとしたら、病児保育や障がい児保育サービスが、爆発的に拡大していく引き金を引くことができます。
しかも「居宅訪問型」保育は、自治体の「事業」ではなく、地域型給付という「給付」です。これはどういうことかと言うと、自治体のやる気に関係なく、そうしたサービスを受けた場合は、住民が補助される、という擬似バウチャーの仕組みになるので、(予算の関係等で)サービスの広がりの阻害要因である自治体に関係なく、大きく広がっていく可能性があるということです。
さて、この居宅訪問型サービスですが、いまだ詳細はまだ詰められておらず、今後の「子ども・子育て会議」という審議会の中で検討が進んで行きます。この中で居宅訪問型が、病児保育や障害児保育等の訪問サービスに門戸が開かれたとすると、多くの事業者の参入が進み、一気にインフラが拡大していきます。
さて、ここで問題が発生します。インフラが拡大すること自体はとても良いことですが、中には質が高くない事業者も参入してくることが考えられます。現に今でもベビーシッター会社の中には、ろくな研修もせず病児保育を行なっている事例も多々あるので、制度が整えられたら尚更です。リスクの高い病児保育において、事故が多発することは容易に想像されます。
そこで、来たるべく社会インフラ化に備え、病児保育のノウハウをオープン化し、病児保育の保育者達を育成することにしたのです。病児保育はこれまで実践的なテキスト等もほとんど出版されてこず、各施設で独自に保育技術が磨かれてきました。しかし、職員の流動性が高いことで蓄積が起きにくく、また多くは小児科との兼務であって、病児保育の専門事業者も数少ないことから、体系的なノウハウの編纂と可視化については遅れていました。
しかも、訪問型病児保育の事業者も少なかったため、ノウハウは暗黙知化しているため、現状のまま事業者が増えても、潜在的なリスクを拡大させることに繋がります。
これらのノウハウを可視化し、それを共有する場を設け、病児保育を学びたいという保育者達を育成する事業を行なっていこう、と考えています。そのために、フローレンスといういちNPOを離れ、いくつかの病児保育事業者の方々と共に、公的な枠組みを創りました。それが一般財団法人日本病児保育協会です。
では、具体的にどのような事業を展開しようとしているのか。詳細に関しては、9月29日のシンポジウムにてお話したいと思います。
共に病児保育の未来を創っていこうという志のある方々のご参加、お待ちしております。
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当記事はNPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹の個人的な著述です。
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