駒崎 弘樹 公式ブログ 事業ニュース

泣きながら生きた2020年を振り返ってみた

いや、マジで今年は辛すぎて思い出したくも無いんですが、とはいえ年末だしちゃんと振り返っておかないと、ということで徒然なるままにぶっちゃけていこうと思います。

 

【昨年末〜1月】ビジネスパートナーから辞めると言われる

年末話があるっていうから忘年会的に飲むのかと思ったら、「卒業したいと思います」とフローレンスの副代表から言われたんですよね。

前向きな理由だったので、別に悲しむ必要は無いって冷静に考えれば思えたのですが、二人三脚で経営やってきたのでマジで凹みました。そこから飲んでは泥酔を繰り返しました。

 

【2月末】一斉休校で阿鼻叫喚

と、そんなところで政府がとち狂って一斉休校を突然言い始めたので、ほんと死にそうになりました。

学校福祉がいきなり奪われたら、ひとり親家庭、虐待や貧困など脆弱な環境にある親子は一気に窮地に立たされます。

自分も含む、フローレンス社員も超困りました。預け先が無くて子どもが家にいて、どうやって働けば良いんだ!と絶望の谷底に落とされたわけです。

【2月末】病児保育だけでなく健康児保育も始める

しかし四の五の言って無いで、やれることやらなきゃ、ということで、預け先が無くなった病児保育利用会員さんに「健康でも預かりますね」っていうサービスを始めました。「リモートワークwithキッズなんて絶対仕事にならない。助かりました!(TДT)」と感謝されて嬉しかったです。(健康児保育は今でも継続中です)

 

【3月初め】一斉休校に関する緊急全国アンケートを実施し、文科大臣にぶつける

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でも、この一斉休校自体どうなの?と。あまりにも親子の負担デカく無い?っていうことで緊急全国アンケートをうちの広報(みんなで社会変革事業部)が爆速で実行・分析。やっぱりめちゃくちゃ負担が大きくて、全国の親子の精神状態を追い詰めている、っていうことがわかりました。それを萩生田文科大臣にぶつけてきました。

【4月〜】全国のひとり親・困窮世帯に食糧支援等をしまくる

緊急事態宣言や一斉休校で子どもや子育て世帯の状況は一気に悪化。特にひとり親世帯や困窮世帯は悲鳴をあげており、フローレンスにも問い合わせが相次ぎました。

たまたま平時において「こども宅食」を全国化しよう、ということで、全国のNPOや社会福祉協議会さんと支援のネットワークをつくっていたわけですが、そのネットワークをフル稼働させて、全国規模の食糧支援のオペレーションを実施したのでした。(新型コロナこども緊急支援プロジェクト)

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【4月〜】全国の医療的ケア児家庭に消毒液やマスクを配布しまくる

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医ケア児は医療的デバイスを日々消毒しないといけないのですが、消毒液やマスクが枯渇していた時期がありました。

消毒しなければ感染し、医療的ケア児の命に関わります。

そこで消毒液を中国等から入手し、全国の医ケア児に配送する、というオペレーションを実施しました。全国の自治体への周知には厚生労働省も協力してくれる等、有事において国と民間が連携した稀有な事例だったと思います。

 

詳細:
医療的ケア児者約4,600家庭に医療支援物資の配送完了。希望多数によりさらなる配送を実施中。 #すべての親子を置き去りにしない 【活動報告14】
https://florence.or.jp/news/2020/05/post40166/

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また、全国のこども病院にもマスクや防護服を配りまくりました。アジカンのゴッチさんは自分で防護服を調達して僕らに寄付してくれ、僕らが病院に配りました。こうした著名人が我々NPOと連携して支援を行ってくれたのも、今回のコロナ支援の特徴だったと思います。(他にもSKY-HIさんやサッカー長友選手、紗子さん、teststeroneさん等など)

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しかしこうした全国規模のオペレーションの実現で多くの子どもたち、親たちを助けられたと同時に、実は深く後悔もしました。

フローレンス自体の現場もコロナ対応で大変になっている時に、新型コロナこども緊急支援プロジェクトということで、ひとり親や困窮世帯、医ケア児家庭等、困っている家庭を助ける活動を大々的に展開し、社員にものすごく重い負担を課してしまったことです。

フローレンスはパパママ社員も多いので、自分たちが預け先もなくて仕事もままならないのに、困窮している人たちの支援オペレーションを回さなくてはならなかった。

緊急事態宣言以降、フルリモートワークになっていたこともあって、社員たちの「辛い」「大変」「いっぱいいっぱい」みたいな声に気づくことができず、十分ケアをすることができなかった、というのは自分の経営者としての未熟さゆえだな、と。

【5月】キッズライン ショック勃発

コロナ対応とコロナ緊急支援プロジェクトでクソ忙しい時に起こったのが、キッズライン 社での性犯罪事件×2。

当初は知人かつ同業ということでスルーしよう、忙しいしね、っていうモードだったのですが、ここでちゃんと再発防止のアクションに繋げないと子どもが犠牲になり続けちゃうな、と思って渋々立ち上がることに。

しかしそんな僕よりも社員の前田晃平がめちゃくちゃ高いモチベーションでこの問題に取り組み始めたんですよね。そして政策起業チームが社内で結成されたのでした。

詳細:キッズライン2人目の性犯罪者逮捕の衝撃 ーシッターマッチングプラットフォームが犯罪の温床にー
https://note.com/komazaki/n/n080bd2efa2d4

 

【5月】こども宅食が二次補正予算に入る

ゼイゼイ言いながら走ってる中で飛び込んできたのがこのニュース。
政府もコロナ禍で子育て世帯へのアウトリーチの重要性に気づき、「見守り強化支援事業」という名前でこども宅食が二次補正予算に入ったのです。これで国のお金を使って、各自治体でこども宅食ができれば、たくさんの親子を助けられる、と。

がしかし、自治体はコロナ対応でそれどころじゃない、せっかくできた政策メニューも知らないし、初めての予算だとよく分からない、みたいになるわけです。

そこで厚労省と一緒にこの予算のオンライン説明会をやったりして、自治体理解を深めたのです。政策って、国で決めておしまい、じゃないんですよね、ほんと。そこをどう実装まで持っていくか、っていう。

 

【5月】「9月入学は今じゃない」のキャンペーンを張る

支援でめちゃくちゃ忙しい中、政府がまたとち狂って「これを機に9月入学にしたら良いんじゃない?」みたいなことを言い出して、中室牧子先生や小林りんさん等、教育関係者の皆さんと共に「9月入学本当に今ですか」っていうアンチキャンペーンを張りました。

 

 

言い出していた政府の重鎮の方を乙武さんらとオンラインで小一時間説得する等、地道な活動を行ったことが少しは功を奏したのか、9月入学は見送りになりました。良かった。今はそこじゃないから。

【7月】保育教育現場に性犯罪者を立ち入らせない仕組み「日本版DBS」の創設を求める記者会見を実施&森法務大臣に直接要望実現!

キッズライン事件を個別企業の事案で終わりにさせず、これを機に保育教育従事者が無犯罪証明書を取得できる仕組み「日本版DBS(Disclosure and Barring Service)」の創設を求めて記者会見をしました。

ネット署名も同時並行的に走っていたのですが、2万筆が集まって、記者会見からわずか3日後に森法務大臣に要望をお渡しできました。

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森大臣はめっちゃ前のめりに対応してくださって、他の大臣にも繋ぐよ、と言ってくれたのです。持つべきものは子どものことに熱心な政治家だわ、と。

詳細:記者会見からわずか3日、法務大臣へ直接要望が実現!署名も2万筆突破 #保育教育現場の性犯罪をゼロに 
https://florence.or.jp/news/2020/07/post41577/

【7月】休校休園シッター開始

この頃になると「先生や生徒にコロナが出ました。はい休校」みたいなことになってたので、この「いきなり困ったどうしよう」という問い合わせが続くようになります。
なので、「休校や休園になったら無料で預かるよ」っていうサービスを病児保育会員さん向けに始めました。

詳細:新サービス『休園・休校シッター』始動!コロナ禍の臨時休園・休校時に会員向け無料保育を提供します。
https://florence.or.jp/news/2020/07/post41513/

【8月】こども宅食議連発足!

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「議連つくるね!!」と稲田朋美・木村弥生・長島昭久議員が中心になって、こども宅食議連を突然創ってくれることになり、めっちゃ嬉しいと同時にあたふたあたふた。

議連ができると、関係部署読んでくれて議論が深まって、どんな政策が本当に良いのか、っていうファインチューニングができるようになるので、ほんと心強いというか、ありがたかったです。

僕らが並行して政策起業していた「男性育休義務化・男性産休創設」も、「男性育休義務化議連」というものが立ち上がって、一気にブーストされていったので、やっぱり議連をつくっていただく、というのは大事だよね、と改めて。

詳細:「こども宅食」国策化へ大きな一歩!こども宅食推進議員連盟が発足しました!
https://florence.or.jp/news/2020/08/post42262/

【8月】橋本聖子内閣府特命担当大臣に「日本版DBS」創出を直接要望

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森まさこ大臣から紹介してもらって、今度は内閣府の橋本聖子大臣にも要望書を提出しました。メディア呼んで大臣に署名手渡ししながら、水面下では関係省庁の方々にアタックして、突破口はどこか探る日々でした。

詳細:保育教育従事者に「無犯罪証明書」を求める2万筆以上の署名を提出!橋本聖子内閣府特命担当大臣に「日本版DBS」創出を直接要望 #保育教育現場の性犯罪をゼロに 
https://florence.or.jp/news/2020/08/post41905/

【11月】障害児保育園ヘレンの保護者たちが小池知事に放課後の預け先ない問題でアタック!

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僕らフローレンスが政治家に突撃して政策を変えてもらう、っていう流れと共に、課題当事者の方々をエンパワーして、彼らが政策を変える、っていう流れになってきているのが嬉しかったです。

ヘレンを立ち上げた2014年に、まさかこんな光景が見れるとは思っていなかったんですよね。ほんと未来は読めないし、だからこそ尊いというか。

「医療的ケア児小1の壁」の打破を!保護者自身が立ち上がった日
https://www.komazaki.net/activity/2020/11/post11059/

【12月】ベビーシッター利用時の自治体助成が非課税に!税金爆死問題ついに解消

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「こういう税制のバグがあるから、シッターが使われないんだぞ」っていう話ですが、ようやくデバグできて嬉しかったなぁ。

詳細:ベビーシッター利用時の自治体助成が非課税に!税金爆死問題ついに解消
https://www.komazaki.net/activity/2020/12/post11080/

【12月】男性育休義務化と「男性産休」創設が閣議決定!

2018年の厚労省イクメンプロジェクトの定期会合が開催された時に、委員の1人おちまさとさんが仰ったんですよね。

「イクメンとかもう寒いし、男性育休取得率全然上げられてないこのプロジェクトって、何か意味あるんすかね」

で、イクメンプロジェクト座長の僕は当初は鼻白んだわけですが、よくよく考えると「まあそうだよな」と。

そんで同じく委員の小室淑恵さんと話して「もう男性育休義務化するくらいしか方法ないんじゃないよね」ってなって、ミラコの天野タエさんを誘って始めたのが男性育休義務化プロジェクト。(通称:男性育休義務化アベンジャーズ)

そこからいろんなイベント仕掛けえの、記事書きいの、本出しいのし、男性育休義務化議連も発足し、骨太の方針に入りいの、労政審に提出されえのして、結果として男性育休義務化と男性産休創設が閣議決定されたわけです。

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これ、マジすごいですよ。10年後とかには多分、「え、男性が子ども産まれて産休取らない時代ってあったんですか?え、その時なにやってたんです?」みたいになりますよ、きっと。

その時に誰も僕らが汗かいたことなんて覚えてないだろうけど、その時代に絶対僕たちはほくそ笑んでいることだけは間違いないな、と思うわけで。

【12月】第五次男女共同参画計画に日本版DBSが入った!

そんでもって、政策起業の半年の成果がこれ!

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詳細は前田晃平のnoteをご覧頂きたいのですが、大きな一歩を踏み出しましたよ。

詳細:日本版DBSの閣議決定と、わいせつ教員は相変わらず3年で復帰可能なままになった現実と、来年のタスク
https://comemo.nikkei.com/n/n4806676170eb

これも10年後に、「え、性犯罪者が普通に教師とか保育士やってた時代とかあったんですか?マジやばいっすね」って言われるように、実現まで粘り強くこぎつけていきたいですよ。

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というわけで、如何でしたでしょうか。

個人的には死ぬほど大変でもう2度と来てほしくない2020年だったのですが、逆にそんな辛い日々も、素晴らしい仲間と共に歩んだから死なずに済んだんだな、と思いました。

この場を借りて、フローレンスの仲間たち、寄付者・企業の皆さん、支えてくれた全ての人々にありがとうを言いたいです。

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