駒崎 弘樹 公式ブログ 提言・解説・アイディア

【政策実現】5歳児まで預かれる「特区小規模保育所」が卒園児の受け皿になれることに!

 2017年9月から始まった国家戦略特区小規模保育事業。この事業では、原則0~2歳児のお預かりしかできなかった小規模保育所が、特例的に5歳児までの保育を行えることになり、既に大阪府堺市等で導入されています(参考https://www.komazaki.net/activity/2019/06/post9532/)。

 

 このこと自体は良かったのですが、この特区小規模保育所は、0~2歳児のお預かりをする家庭的保育・小規模保育事業者等(家庭的保育事業者、小規模保育事業者及び事業所内保育事業者)の卒園児の受け皿(連携施設)になることは認められていないのです。

 

 というのも、国の基準で、「連携施設」になれるのは、保育所、幼稚園又は認定こども園に限定されてしまっているから※1

 

【「3歳の壁」問題】

 2019年4月時点で、全国の家庭的保育・小規模保育事業者等数は約6,400※2。待機児童が一番多い、0〜2歳児の受け皿として大活躍の家庭的保育・小規模保育事業等ですが、3歳の卒園児が再保活しなければならない、いわゆる「3歳の壁」問題が大きな課題として横たわっています。 

 

 この「3歳の壁」問題を解消すべく、国は、家庭的保育・小規模保育事業者等に卒園後の受け皿となる「連携施設」を確保することを義務付けています※1

 

 でも、「連携施設」になってくれる保育所を見つけるのは簡単なことではなく、約3割の家庭的保育・小規模保育事業者等が、受け皿となる「連携施設」を確保できていない状況なんです※2

 

【特区小規模保育所も連携施設になれるように!】

 だったら、「3歳の壁」問題を改善するためにも、特区小規模保育所も「連携施設」になれるようにすべきじゃない?

 

 特区小規模保育所は5歳児まで預かれるんだから、「連携施設」になれない理由はないよね?

 

 そこで、僕は、委員を務める内閣府子ども・子育て会議の場などで、「特区小規模保育所も連携施設として認めて!」と提案し続けてきました。

 

 そして、ついに、その提案が通り、今年1月20日に行われた子ども・子育て会議で改正案が示されましたっ!

 

(出典)第56回「子ども・子育て会議」資料4「連携施設に係る認可基準・運営基準の改正(案)」(内閣府子ども・子育て本部/厚生労働省子ども家庭局保育課)

 

【特区小規模保育事業を全国へ!】

 僕は、この特区小規模保育事業を全国に展開していくべきだと思っています。

 

 これからは、全国的に少子化が進み、待機児童も減る中、既存の認可保育園のインフラを維持できなくなる地域が多く出てくると考えられます。そうなったときに、少人数の保育ニーズがある地域において、狭いスペースでも立ち上げられ、0~5歳児まで保育でき、かつ、家庭的保育・小規模保育事業者等の卒園児の受け皿となれる小規模保育所があれば、地域の保育インフラを維持していける可能性が見えてきます。

 

 フローレンスが、実際に3〜5歳児の特区小規模保育事業を導入している自治体の方々にヒアリングを行ったところ、多くの方が有用性を感じていらっしゃり、今後についても期待度が高いことが伺えました。

 

 内閣府、厚生労働省のみなさん、特区小規模保育事業が全国で導入されるように、検討してください!

 

 よろしくお願いしますっ!!

 

※1「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準」(平成26年厚生労働省令第61号)第6条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=426M60000100061

 

※2厚生労働省「【連携状況別】家庭的保育事業等(居宅訪問型保育事業を除く)の連携施設設定数(平成31年4月1日時点)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000686573.pdf

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