「高市は女性だから喜ばないフェミはおかしい」的なことを言う人に知ってほしいこと
高市氏支持のインフルエンサーの方から絡まれたので、解説します。
なお、ここで立脚するフェミニズムの定義は国連における「フェミニズムとは、すべてのジェンダーの政治的・経済的・社会的平等を信じ、推進すること」を前提としています。
また、僕自身は男女は平等であるべきと信じる、単なるいちスタートアップ経営者に過ぎず、フェミニストを代表する立場に全くないことも書き添えつつ始めます。
1.「女性である」ことと「フェミニストである」ことは別
まず前提として、
女性であること ≠ フェミニストであること
です。
フェミニズムは「性別にかかわらず平等を求める思想」であって、生物学的・社会的に女性であることとは独立した立場です。
したがって、女性であっても反フェミニズム的な立場を取ることは、論理的にはあり得ます。
2.高市早苗氏と選択的夫婦別姓の問題
高市氏は、「家族の一体感が損なわれる」などの理由で選択的夫婦別姓制度に反対しています。
つまり、「伝統的な家族観・夫婦観を重視する立場」ですね。
この立場は、個人の自由や選択の尊重を重視するフェミニズムの理念(「自分の姓を選ぶ自由」など)とは明確に異なります。
そのため、理論的にはフェミニズムとは矛盾します。
ただし、本人が「女性の権利」よりも「伝統的価値」や「家族制度の安定」を優先している場合、それは「保守的女性リーダー」としては一貫しているとも言えます。
矛盾しているのは「フェミニズムの観点」から見たときだけです。
3.「女性の活躍」=フェミニズムではない
よく混同されるのがここです。
高市氏のように「女性であり、政治の中枢で活躍している」という事実は、“女性の社会進出”という意味ではフェミニズム的成果の恩恵を受けています。
しかし、本人がその思想を継承・推進しているかは別問題です。
つまり、
「女性の成功」は必ずしも「フェミニズム的成功」ではない。
ということです。
4.まとめ「高市は女性だからフェミは喜べ」は誤り
というわけで、男女平等推進の恩恵を預かった高市氏が、自らが恩恵を受けたにも関わらず、男女平等の理念に背く政治的な主張をしている場合は、フェミニズム的観点から言うと、喜べない、と言うことになります。
それはあたかも、人種平等を信じる人たちが、アフリカ系アメリカ人(やネイティブアメリカン等人種的マイノリティ)が人種差別的発言をした場合、喜べないのと同様です。
というわけで、高市氏に絡めたSNS上の誤解と、誤解に基づくフェミニスト叩きが、より生産的な議論へと向かうことを願っています。