駒崎 弘樹 公式ブログ 提言・アイデア

提案し続けてきた「保育士試験を複数回にして!」が実現へ!

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僕は子ども子育て会議という有識者審議会において、年1回しかやっていない保育士試験を、複数回にしてほしい、と訴え続けてきました。(http://bit.ly/1jRpCtJ
というのも、待機児童解消のボトルネックの一つが、都市部における保育士不足
今年はこれによって、4月開園予定だったにも関わらず、保育士がいなくて開園できなかった園が、東京各地で見られました。
この構造的な要因は、低いと言われる介護福祉士以下の保育士の処遇の低さです。
大変な仕事の割に処遇が低いことが、職業としての魅力を下げています。
この処遇改善は中長期的には絶対にやっていかねばならないことですし、僕自身もあらゆる機会で訴えています。
とはいえ数百億規模の財源が必要になることから、時間もかなりかかる問題ではあります。
一方、今すぐできる策としてあるのが「保育士試験の複数回化」です。年に1回だと、保育士の供給が年1回に制限されるわけです。保育士需要がそこまでない時代は、それでも事足りましたが、今は年度途中でも園を増やしていかねば追いつかない時代です。
これが可能になれば、例えば保育事業者が、実務経験や子育て経験等はあるが、資格をまだ取っていない人材を採用し、数ヶ月間で密度の濃い実習と座学の研修を行い、保育士を機動的に養成していくことが可能になるのです。
しかし、当時の厚労省の保育課からは「年2回やると、2回目は大学会場が使えなくなり、試験費用が増え、ペイできない。国家試験は試験料によって収支が回ることが原則なので」ということで、却下され続けていました
もう無理かな・・・と諦めかけていたころ、6月中旬に内閣官房の地域活性化統合事務局という、特区担当の部署から連絡がありました。その部署のリーダーは、4年前にNPO/ソーシャルビジネス政策を共に企画した旧知の官僚の方でした。
ヒアリングに呼ばれ、がっつりプレゼンをしたところ、委員の皆さんにも好感触。
とはいえ、まあすぐには難しいだろうなと思いつつ、あれから4ヶ月も経ち、忘れかけていたところ、安倍首相が官邸において特区について発表したという報が入りました。
そこには、地域を限定して、保育士試験を年2回やる、と言う内容が含まれていたではありませんか。
担当官僚の方に急いで電話をして、「やったぜ!!」と喜びあったのは、言うまでもありません。
これで、保育士不足解消に、一歩踏み出すことができました。
嬉しい・・・!
とはいえ、この特区はまずは神奈川県ということ。でも本丸は東京都なのです。都が早く手を挙げないといけません。舛添都知事には、申請書類出すだけなので、絶対やってもらいたいと思います。
今度は、都にも働きかけていきたいと思います。
待機児童問題解決のための道のりは続きます。しかし、セクターを超えて、改革に汗を流す同士は、やっぱりいるんだ、と認識を新たにしました。彼らへの感謝を噛み締めつつ、負けずに進んでいこうと思います。
—-以下、日経新聞を一部引用——
特区の追加緩和、農業で積み残し 改正案のメニュー固まる 
2014/10/11 0:11
 国家戦略特区法の改正案に盛り込む追加の規制緩和メニューが10日、固まった。女性の就業促進に向け、地域限定の保育士制度や家事支援の外国人受け入れなどを盛り込んだが、ただ、農業分野には積み残しも目立つ。
 同日、国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)を開き、追加する規制緩和項目を了承した。政府はこれを踏まえ特区法改正案を臨時国会に提出する。安倍首相は同日の会議で「今回のメニューはやる気のある自治体や企業から真の事業ニーズをくみとったもの」と強調した。
 政府内の調整がギリギリまでかかったのが保育だ。現在、保育士の試験は年1回で、育児の現場は人手不足が深刻化していた。だが、厚生労働省側は保育士増を懸念する関係団体の抵抗を恐れ、試験を増やすのに難色を示していた。特区法改正案には「地域限定保育士」を創設し、通常の保育士とは別の試験をできる制度を設けた。同資格は3年程度の経験を積めば、特区以外でも働ける。
 NPO法人フローレンスの駒崎弘樹代表理事は「年1回の試験は少なすぎる。保育士が増えれば機動的に保育所の開設が可能になる」と評価する。まずは神奈川県で導入する見込みだが「待機児童の多い東京都でも実現してほしい」と語る。
(中略)
 
 野村証券の木下智夫チーフエコノミストは「内外の投資家は成長戦略の早期実行に注目している」と述べる。追加規制緩和を具体的な事業にどうつなげるかは、今後の国・地方の調整に委ねられる。
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