駒崎 弘樹 公式ブログ 提言・アイデア

【政策実現!】ついに「こども誰でも通園制度」法案成立!これまでの提言の歩みと今後の課題とは?

 

 

 2024年6月5日、「こども誰でも通園制度」の創設を含む、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」が参議院本会議を通過し、法案が成立しました!

 

 

 これまで働いている親とそのこどものみに開かれていた「保育園」が、ついに「すべてのこどもたちへ」開かれる場所となります!!!!!

 

 

 やったーーーーーーーー!!!!!

 

 

 今日は、「こども誰でも通園制度」実現までの僕たちフローレンスの政策提言のあゆみ、そして今後制度を意義あるものとするために、乗り越えるべき課題を解説したいと思いますっ!

 

 

フローレンス「みんなの保育園構想」のあゆみ

 

 僕たちフローレンスは、2021年から保育園等に通っていないこどもたち、いわゆる“無園児”も保育園を利用できる「みんなの保育園構想」の提言に力を入れてきました。

 

 

 2022年6月には保育園や幼稚園に通っていない“無園児”家庭へ大規模なアンケート調査を実施。

 

 

 アンケート調査では“無園児”家庭が子育てにおいて孤立を感じやすく、保育園へ定期的に通いたいニーズがあることを明らかにし、社会から孤立している“無園児”家庭でも保育園が定期利用できるように訴える記者会見を実施しました。

(※詳細は過去のフローレンスNEWS記事をご覧ください:https://florence.or.jp/news/2022/06/post52393/

 

 

 

 

 同時に、仙台市にあるフローレンスが運営する「おうち保育園かしわぎ」では、一時預かりの仕組みを利用しながら無園児(未就園児)の定期預かりを独自にスタート

 

 

 

 

 また、2023年度には、「こども誰でも通園制度」のモデル事業の実施事業者として採択され、東京都中野区、渋谷区、宮城県仙台市で無園児(未就園児)の定期預かりの実践を重ねてきました。

 

 

 

 さらにこども家庭庁のこども誰でも通園制度(仮称)に関する検討会にも委員として参加し、独自のアンケート調査結果や現場の声を国に届けてきました。

 

フローレンスが実施したアンケート調査の詳細はこちら

・こども誰でも通園制度(仮称)に関する全国アンケート調査
https://florence.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/10/press_231011-1.pdf

・全国の障害児・医療的ケア児の家族を対象としたこども誰でも通園制度(仮称)に関するアンケート調査
https://florence.or.jp/files/data/notice_report_20231211.pdf

 

 

 今回の法案成立を機に、改めて。

 

 

 調査に協力してくださった子育て家庭のみなさん、全国の保育事業者のみなさん

 一緒に提言を続けてきた保育業界団体のみなさん

 話に耳を傾け、制度成立のために動いてくれた政治家のみなさん

 

 

 本当に本当に、ありがとうございます!!!!!

 

 

意義ある制度とするために乗り越えるべき3つの課題

 

 一方で、今回の「こども誰でも通園制度」には、まだまだ課題も残っているんです。

 

 

 ここからは、制度をより良いものにするための3つの課題を解説します!

 

 

1.利用時間の拡大

 

 まず1つめの課題は「利用時間」。

 

 

 令和8年4月からは「月10時間以上」となるものの、

現状、令和7年度までは「月10時間まで」の利用時間上限がある想定です。

 

 

 この「月10時間」という基準。

 

 

 正直、こどもが園に慣れたり、保育士が親子との信頼関係を構築していくためには全然足りないっ!!

 

 

 こどもの成長にしっかり伴走し、親御さんの心理的・身体的負担を軽減するためにも、月10時間以上預けられる仕組みを早期に取り入れてほしいと考えています。

 

 

 

 

2.医療的ケア児を含む障害児を置き去りにしない設計

 

 次に挙げる課題は、「障害児に対する居宅訪問型保育」が制度から取りこぼされそうになっていること。

 

 

 「こども誰でも通園制度」の実施施設は、保育所、認定こども園、小規模保育園、家庭的保育、幼稚園 、地域子育て支援拠点、児童発達支援センター等の施設が想定されています。

 

 

 実はこの中から、なぜか「居宅訪問型保育」が外されているんです。

 

 

 「居宅訪問型保育」とは、通園が難しい障害児や医療的ケア児の家庭に保育士が訪問し、保育を行う制度です。

 

 

 

 

 保育園側の受け入れ拒否や感染症のリスクによって、保育園に「行きたくても行けない」お子さんはたくさんいます。

 

 

 保育園や他の保育サービスが使えず、家で親と2人きりになりがちな障害児だからこそ、

就労が難しい障害児の保護者だからこそ、こども誰でも通園制度を強く待ち望んでいるのに・・・!

 

 

 そもそも、「こども誰でも通園制度」はすべてのこどもが対象であるべきです。

 

 

 「障害児」や「医療的ケア児」が制度から排除されないようにするため、引き続き声を上げていきます。

 

 

3.保育現場に過度な負荷がかからないような配置基準の改善を

 

 そして、忘れてはいけないのが保育現場の負担です。

 

 

 保育現場を苦しめる長年の課題である保育士の配置基準

 

 

 実は、日本は先進諸国の中でも群を抜いて「保育士の人員配置基準」が低く、保育士ひとりあたりが担当するこどもの数が多すぎます。

 

 

 保育の質を向上させるため、令和6年度から4、5歳児の保育士の配置基準が「子ども30人に1人」から「25人に1人」に見直されることになりました。

 

 

 この見直しは76年ぶりで、改善自体は評価できます。

 

 

 しかし!!!

 

 

 この改善はほんのわずかであることには変わりなく、これにより現場の負担が完全に解消されるわけではありません。

 

 

 今回の「こども誰でも通園制度」の創設と同時に、「保育士配置基準の改善も両輪で進めていく必要があると考えています。

 

 

「こども誰でも通園制度」をより良い制度に

 

 僕たちフローレンスは、今後もすべてのこどもが質の高い保育を享受でき、孤独な子育てのない社会を目指して、「こども誰でも通園制度」がより良い制度となるよう、現場の課題や解決策を国や自治体とも共有しながら、声を上げていきたいと思います!

 

 

 このような提言活動はみなさまからのご寄付に支えられています。

 あたたかいご支援をよろしくお願いします!

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https://florence.or.jp/donate/form/monthly/

 

 

 今回、「こども誰でも通園制度」について解説動画をアップしました。

 

 

 動画の中では、日本における保育園制度の歴史からこども誰でも通園制度の意義などを解説しています!

 ぜひご覧くださいっ!

 

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