全国小規模保育協議会の理事を退任しました

振り返れば2013年、小規模保育の制度化を進めるために「子ども子育て会議」という政府の審議会に入る必要がありました。そのために、業界団体の代表であれば委員になれるということで、急いで作ったのが全国小規模保育協議会でした。最初は全国という名ばかりで、東京と横浜の仲間たちだけで手作りで立ち上げました。
「子ども子育て会議」には毎回欠かさず提言書を提出し、その結果、小規模認可保育所は一般の認可園よりも手厚い人員配置が認められました。この政策のおかげもあり、「子ども子育て支援法」施行初年度には1,500箇所、その後の10年間で全国5,000ヶ所へと爆発的に広がりました。待機児童対策として、これほど大きなインパクトを生んだことは、私にとっても大きな誇りです。
次の課題として「働いていない家庭の子どもも保育園に通えるようにすべきだ」という理念を掲げ、「みんなの保育園」構想を推進しました。その成果が「こども誰でも通園制度」という形で実現したことも、大きな喜びでした。
そして現在、待機児童問題が解消され、子どもの人口が減る中で保育園が新たな役割をどう果たすべきかという課題に直面しています。この課題に応えるべく、保育園を地域に開かれた「多機能拠点」とするアイデアをみんなで生み出しました。その結果、保育園内で「こども食堂」などを行えるようになるなど、さらなる制度改正につながっています。
これらの成果を実現できたのも、ひとえに全国小規模保育協議会に参加する会員団体の皆さんのおかげです。現場で熱い思いを持って保育に携わる皆さんのリアリティを霞ヶ関の審議会に届けることが、私の一番の役割でした。
本日5月17日、私がフローレンスの事業継承に伴い、13年間務めた協議会理事(そのうち最初の10年は理事長として)を退任し、新たな理事としてフローレンス代表理事の赤坂緑さんに引き継ぎます。
小規模保育の制度化、「こども誰でも通園制度」の実現など、日本の保育政策において歴史的な変化をもたらすことができました。自分としては特に思い残すことはありません。
今後の小規模保育は、家庭保育、事業所内保育、企業主導型保育などと統合され、新たに「地域おやこ園」として再編されることを願っています。「地域おやこ園」は、1対1の個別保育から40人規模の園まで柔軟に対応でき、病児保育や障害児保育を併設可能で、児童発達支援、放課後デイ、学童との連携もスムーズに行える仕組みです。また、産後ケアや親子ひろば、こども食堂やアウトリーチ活動など、多彩な福祉ツールを組み込むことが可能となります。
新たな保育類型への進化まで見届けられなかったのはやや残念ですが、後を託すメンバーが必ずや実現してくれると信じています。
みんな、今まで本当にありがとう。 保育園と子どもたちの未来が、より明るいものでありますように。