駒崎 弘樹 公式ブログ 提言・解説・アイディア

部活の地域移行で、指導者の性暴力対策は誰がやる? スポーツ庁が対応を具体化

9月2日付で、スポーツ庁が「地域クラブ活動におけるこども性暴力防止法の対応について」という11ページの資料を公開しました。地味な資料ですが、部活動の地域移行に関わっている方は全員読んだほうがいいと思います。

中学の部活が、どんどん地域クラブへ移っています。指導するのは学校の先生から「地域の大人」へ。

では、その大人が子どもに性暴力をふるうリスクは、誰が、どうやって防ぐのでしょうか。

12月25日に施行されるこども性暴力防止法は、地域クラブを「認定対象」に位置づけています。学校のような義務ではなく、手挙げ制です。ただし今回の資料は「積極的に認定を受けましょう」と、はっきり背中を押しています。

そして実務的に一番気になるのが、「で、誰が認定申請するの?」です。

現場はここで詰まります。総合型クラブ、競技団体、保護者会、民間企業、教育委員会……関係者が多すぎて、誰が「事業者」なのか分からない。

資料は、4つの事例を挙げていますが、判断のルールとしては3通りです。

 

・クラブが自前で指導者を抱えているなら、そのクラブが単独で認定

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・教委が委託していて、委託先が指導者確保や相談窓口を担うなら、委託先が単独、または委託元と共同で認定

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・教委が指導者の人事管理も相談窓口も調査も握っているなら、教育委員会が単独で認定

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つまり「自治体がやってくれる」でもなければ、「クラブが全部背負う」でもありません。

契約書・仕様書に役割分担をどう書いたかで、申請主体が決まります。

ここが怖いところです。役割分担が曖昧なまま12月を迎えると、「誰もやっていなかった」が普通に起きます。

さらに、求められるのは犯罪歴の確認だけではありません。

 

・服務規律などのルールづくり

・指導者への研修

・面談や日常の観察による、被害の兆候の早期把握

・相談体制の整備

・保護者と子どもへの周知

 

犯罪歴確認は、入口にすぎません。前科のない加害者は、そこでは止まらないからです。実際に止めるのは、この日常の仕組みのほうです。

正直に言えば、ここが一番きついところです。

地域クラブの多くは小さな任意団体で、事務局も専任職員もいません。施行前までに就業規則の見直し、対象従事者の範囲の確定、犯罪事実確認の実施体制の整備。施行後には情報管理規程、対処規程の作成。このリストを見て固まってしまう団体は、相当数あるはずです。

法律を読み込んで規程を一から書いて、研修を自作して。それを全国の少年団やクラブに求めるのは、現実的ではありません。

でも、ここは全部を各団体が抱え込む必要のない部分でもあります。

責任は各団体に残る。けれど規程のひな型も、研修も、相談窓口も、共通化できます。 地域移行の旗を振る自治体とスポーツ協会が、クラブごとにバラバラにやらせるのではなく、共通の型を用意して伴走する。そこを設計しないまま進めれば、認定を取れるクラブと取れないクラブに分かれ、子どもの安全が「住む場所」で決まってしまいます。

学校の外に出たら子どもの安全が薄くなる。それでは、地域移行の意味がありません。

自治体と教育委員会のみなさんにかかってきますので、ぜひそろそろ本格的にご検討を。


出典

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