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障害児の訪問保育「アニー」の仕事ってどんなもの?保育スタッフに聞いてみた

障害児訪問保育アニーでは、障害児の療育や保育の経験だけでなく、子育て経験や、保育園などでの保育経験も応募資格としています。

そんなアニーの説明会でよく聞かれるのが、「障害児保育で保育するのはどんなお子さんなんですか?」という質問。

たしかに、障害のある子どもと密に関わったことはないという人もいますよね。

そんな方向けに、今回、現在アニーで働く保育スタッフに、保育しているお子さんのこと、そして仕事のやりがい、さらには裏表なく、仕事の大変なところなどを聞いてみました。

「マンツーマンの障害児保育って、どんな感じなの?ちょっとイメージがわかないなあ・・・」

そんな風に思っている方、ぜひ参考にしてみてください!

(聞き手:障害児保育スタッフ採用担当・武石)

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アニー保育スタッフの大村(向かって右、2017年入社)、蓮沼(向かって左、2016年入社)

 

夜勤ありの仕事から、土日祝休み/夜勤なしの仕事へ

 

ーー今日はよろしくお願いします。お二人とも、別のお仕事をされててアニー応募してくれたんですよね。前職はどんなお仕事だったんですか?

蓮沼:私は、新卒で病院併設の児童福祉施設に就職して、子どもの生活支援や保育をしていました。重心児(※)の担当で、3交代制、夜勤もある働き方でした。

※重心児:重症心身障害児。重度の肢体不自由と重度の知的障害が両方ともある子ども。

大村:私は新卒で乳児院へ就職しました。保育士として0歳から3歳までのお子さんを保育していました。

乳児院での保育は、親御さんの代わりに子どもの生活基盤を作るので、愛着関係を作ることを大事にしていました。

保育園の保育士さんとは違い、年間計画を立てたりするのではなく、個々の発達や生活を見ます。保育というより「養育」に近い仕事だったと思います。子どもたちは院の中で生活しているので、私も夜勤はありました。

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ーーアニーは、夜勤や土日祝日の勤務はないのでプライベートも大事にできますね。お二人がアニーの保育スタッフに転職したきっかけはなんですか?

蓮沼:駒崎代表と乙武洋匡さんが対談している本を読んだのが、フローレンスを知ったきっかけです。病児保育をやっているNPOということで。興味がわいてインターネットでもう少し調べてみたら、障害児保育もやっていると知って。

それがたしか2015年の3月、4月くらいで、特に、マンツーマンの保育というところに興味がわいたんです。施設勤務の仕事だと、じっくりひとりひとりの子どもと関わることができないというモヤモヤがあったので。

知ってからは早くて、5月に面接を受けて、入社しました。

大村:フローレンスは、もともと病児保育をやっている団体ということで知りました。マンツーマンの保育って楽しそうだな、と思って見ていたら、『37.5℃の涙』でマンガになり、ドラマになり、ますます気になるようになりました。

その後、障害児保育もやっていることを知って、もともと障害児と関わる仕事に興味があったことや、前職で障害児と関わる経験もあったので、障害児と個別に関わりたいと思い、フローレンスに応募しました。

障害児保育園ヘレンの保育スタッフで選考を受けたのですが、マンツーマンが合っているということで、アニーで採用してもらいました。

DSC_6303ーーお二人とも病児保育からフローレンスを知って、そこから障害児保育、そしてアニーに入社したんですね。障害児のマンツーマン保育のイメージがわきづらい人もいると思うので、いま担当しているお子さんについて教えていただけますか?

蓮沼:年中の女の子で、担任になって2年経ちました。ご飯を食べるのが好きな子ですが、胃ろう(※)で嚥下(飲み込むこと)が難しいので少しずつ練習しています。

立ったり座ったりはできないけど、専用の椅子を作ってもらい、座りながら手で太鼓を叩いたり、お歌に合わせてリズムを取ったりするのが好きな子なんです。嚥下が苦手で、痰がたまってぜろぜろしやすいので、保育中には痰の吸引もしています。

※胃ろう嚥下障害や認知症などで口から食べ物を食べられない人、あるいは誤嚥性肺炎を起こしやすい人が、直接胃に空けた穴から水分や栄養を摂り、全身状態を安定させるための「経管栄養法」のひとつ。

大村:私は年中の男の子を担当して1年です。ご飯は口から食べられますが、口が閉じにくいので気をつけて介助しています。でも、食べることが本当に大好きで、たとえば私がお昼ご飯でパンの袋を開けたりすると、その音で目を覚まして、食べる様子をじーっと見つめてくるんです(笑)

首が座っていなくて、立ったり座ったりも自分ではできないですが、保育の中では姿勢を補助してくれる装具を使って立位の練習もしています。最近は首を少し動かして、そっぽを向いてふざけたりするようになりました。

てんかんの発作が起きることがあるので、看護師と相談してダイアップを使ったり、痰の吸引をしたり、酸素の吸入もします。発作や鼻づまりでチアノーゼにならないように、長い時間散歩に行くときなどは、酸素レベルがわかるモニターや、吸入のためのマスクを持ち歩いています。

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ーーそういった医療的ケアをマンツーマン保育の中で行っているのはすごいですね。想いがあっても、障害児のマンツーマン保育は未経験のお二人は最初不安に感じたと思いますが、サポート体制はどうでしょうか?

大村:前職では夜勤時間帯にスタッフ2人で30人の子どもたちを見ていたので、余裕を持って見られるマンツーマン保育についての不安はあまりなかったですが、医療的ケアなどを一人でちゃんとできるかな?という心配は少しありました。

実際どうかというと、アニーでは、入社後、第3号研修(※)でしっかり学んだり、他のスタッフの保育先を巡回することもあって、見て学ぶ機会が多いです。

医療的ケアについては、フローレンスの看護師や親御さんと練習する期間があったり、看護師や事務局スタッフとはいつでもスマホで連絡ができたりと、研修やサポートがしっかりしていているので、「マンツーマン」というより「チームで保育している」という感じですね。

※第3号研修個別性の高い特定の対象者に対して特定の職員が、たんの吸引等の医療的ケアを実施する場合に必要となる研修

 

その子に合わせて、たっぷり時間を使って、じっくり向き合えることがやりがい

ーーお二人にとっての、アニーの保育のやりがいって、どんなところですか?

蓮沼:前職の病棟勤務は、毎日がバタバタで。患者さんが50人ぐらいいて、重症の方も多かったので、流れ作業のようになることもあって、ひとりにゆとりをもって関わることができませんでした。もう少し一人ひとりにしっかり関われば、もっとできることがあるのでは、という思いがありました。

今はマンツーマンで、その子に合わせたやり方で、たっぷり時間を使って向き合うことができるというのが、大きなやりがいです。

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大村:私も同じです。1対1だからこそ、その子にあったことができると思うんです。その子に合わせて、ときにはじっくり待ってあげたり、どんなおもちゃに興味を持ってくれるかしっかり考えて制作したりもできます。

それから、お子さんの変化を親御さんと共有できたり話したりできることも嬉しいです。担当している子は、最初はクールボーイだったんですが、最近ニコっと笑うようになったんです!そういう話を親御さんと一緒に喜んだりして。「昨夜こんなことがありました」という話を教えてもらうのも楽しいし。親御さんと丁寧に向き合えるのがいいですね。

蓮沼:私も、前職は入所施設勤務だったので、親御さんとの関わりはなくって、アニーに入社当初は正直あまりピンときていなかったのですが、3年アニーの保育をしてきて、今は親御さんと接することもやりがいの一つになりました。就労支援というか、少しでもお力になれているかな、と。引き継ぎもバタバタせず、ゆっくり話せるのもいいですね。

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アニーの保育現場は「家族の生活の場」でもあるからこそ大変なことも

ーーじっくり関わることができるからこそのやりがいなんですね。では少し話題を変えて、このお仕事の大変なところはどんなところですか?

蓮沼:重心児のお子さんと1対1で、かつお子さんのご自宅で保育となると、できることが限られてくるので、毎日いろいろな工夫が必要なことです。アニーの保育の現場は、家族の生活の場でもあるので

保育園と違ってその場にある道具や部屋の制約があるので、「こういう保育をしたいけど、どうでしょうか?」というのを親御さんに相談したりしています。

大村:同感です。私も、自分以外の方の家で保育するという大変さがあります。小麦粉粘土や絵の具、あとはお散歩で拾ったどんぐりで家を散らかしてしまったりすると、きょうだい児が誤飲してしまったり、という原因になりますから。保育が終わった後に、その場所で生活しているご家族がいることをちゃんと考えないといけないです。

あと、私は石川県出身なので、朝の満員電車が慣れません(笑)

 

ーー満員電車はたしかに大変ですよね。私も慣れないです……。他に、慣れるのに時間がかかったことってありますか?

大村:アニー保育スタッフの働き方は、必ずしも1日8時間で週5日固定ではないところです。

たとえば、お子さんが療育施設に行っている間、私達は同行しないので、本部(神保町オフィス)で作業したり、同じくオフィスにいるアニースタッフと情報共有したり、ご自宅の近くのカフェで事務作業をしながら療育施設からの帰りを待ったりして過ごしますが、そういう時間の使い方、仕事のリズムに慣れるまでは少し戸惑いました。

蓮沼:アニーはマンツーマンの保育なので、お子さんに何かあった時の初動対応は当たり前ですが自分がしなきゃいけない!という責任はあって、それに慣れるのには少し時間がかかりましたね。

もちろん、訪問看護で看護師が来てくれたり、本部もリアルタイムでカメラを通してこちらの様子を見てくれているなど、サポートもしっかりしていますが、もしもに備えるというのはとても大事で、そういう心構えで日々仕事をしています。

 

小さな変化だけど、マンツーマンだからこそ、そこに成長を感じることができる

ーー率直な気持ちが聞けて嬉しいです!大変なことも含めて、今までで一番印象に残っているエピソードなどはありますか?

蓮沼:私が担当しているお子さんは、立ったり歩いたりなどの大きな変化はないですが、私が担任になってから、笑うようになったり、目を見ておしゃべりしてくれるようになったのがとっても嬉しいです。すごくかわいい声なんです。

もともといろんな表情を見せてくれる子ですが、ますます表情が豊かになってきて、そういう小さな変化から成長を感じることができるのも、マンツーマンでその子だけにじっくり関わることができるからだなと思います。

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大村:私の担当のお子さんも、以前は声もあまり出さなかったんですが、今は笑ったり、声を出すようになりました。やっぱり子どもって成長しますね。

散歩のときに、電車を見せに行っていたんです。電車が好きなお子さんって多いじゃないですか。この子も好きかな、と思って。

最初は、全然興味がなさそうだったんですが、この電車を見に行く散歩を続けていたら、ある日、電車を目で追って笑っていたんです!成長を感じて感動しました。限られた保育の時間のなかでも、いろいろなものを見せて、刺激に触れさせてあげて、興味があるものを探るのことも楽しいです。

 

ーーありがとうございました!


いかがでしたでしょうか?

 

障害児訪問保育アニーでは、マンツーマン保育だからこそ、お子さんにじっくり、ゆっくりと寄り添い、親御さんと一緒に成長を見守ることができます

アニーの保育を待っているご家族はまだまだたくさんいらっしゃいます。一人でも多くのお子さん、親御さんに保育の光を届けるため、保育スタッフを増やしていくための採用説明会を継続的に開催中です。みなさんのご参加をお待ちしております!

訪問型、マンツーマンの保育ではなくて、施設での障害児保育も気になる、という方は、障害児保育園ヘレンもご検討ください。

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